木を切る費用が「一律いくら」と言えない理由
「庭の木を1本切りたいんですが、いくらですか?」——川口市でお見積りに伺うと、まずこう聞かれます。当然の質問だと思います。ただ、私たちが電話口で即答できないことも多いんです。理由はシンプルで、伐採の費用はひとつの単価で決まっていないから。
木を切る費用は、大きく3つの層が積み重なってできています。1つめが樹高で決まる本体料金。2つめが抜根・廃材の運搬処分・高所作業といった加算部分。そして3つめが、重機を入れられるか、隣家との距離がどれくらいか——といった作業条件です。同じ5mの木でも、この3層目が違うだけで見積りは変わります。
この記事では、その3層を庭師の目線で分解していきます。相場を煽るつもりも、うちが安いと言うつもりもありません。ただ「なぜこの金額になるのか」を知っていれば、どの業者さんに頼むにしても納得して判断できるはずですから。

第1層:樹高で本体料金が変わる仕組み
伐採料金の土台になるのが樹高です。ほとんどの業者が「3m未満」「3〜5m」「5〜7m」といった帯で区切っています。ではなぜ高さで変わるのか。ここが意外と知られていないところ。
3m未満:脚立で足りる高さ
脚立を立てて、上から順に枝を落として、最後に幹を伐り倒す。作業者1人でも成立する高さです。3mの松なら、枝を整理しながらで約2時間といったところ。庭木としてはいちばん扱いやすいサイズですね。
3〜5m:脚立では届かなくなる境目
この帯から一気に手間が増えます。脚立の天板に乗るのは危険なので、ロープで身体を確保して木に登るか、足場を組むか。人手も2人必要になることが多い。費用が跳ねるのは「高さ」そのものより「作業方法が変わるから」なんです。
5m以上:重量と倒す方向の管理が主役になる
5mを超えると、幹の重さだけで数百kgになることも珍しくありません。真下にそのまま倒せる庭なら話は早いのですが、住宅密集地の川口市でそんな現場は正直少ない。上から1mずつ切っては下ろす「吊り切り」という方法になり、ここで時間が倍以上かかります。
よくお客様から聞かれるのが「うちの木、そんなに高くないですよ」というお言葉。ところが実測すると6m超えだった、というのが本当に多い。これ、多いんです。地面から見上げると、木は実際より低く見えるものですから。
第2層:本体料金に加算される3つの費用
樹高の本体料金に、条件によって上乗せされるのがこの層です。
抜根(根っこを掘り起こす作業)
伐採は地面から上を切る作業。根っこは地中に残ります。「根っこごと抜かないとまた生えてきますよ」——これはお客様にいつもお伝えしていること。特に柳・ニセアカシア・ゴンズイあたりは、切り株から芽が吹き返す力が強い。翌春にはひこばえ(切り株から出る若い芽)がわさわさ生えてきて、結局もう一度呼ばれる、という流れになりがちです。
逆に、その場所に何も植えず舗装もしないなら、根は数年かけて自然に朽ちていきます。抜根が必ず必要なわけではない。「その跡地をどう使うか」で判断が変わります。
運搬・処分料
切った枝葉・伐採木は、私たちが回収して持ち帰ります。ただし量が多い場合は運搬・処分料(3,000円〜/量に応じて)を別途申し受けます。庭木1本でも、枝葉を広げると軽トラック1台分になることは普通にあります。
他社さんに相見積りを取るときは、ここを必ず確認してください。「伐採◯◯円」の表示に処分費が含まれているのか、別なのか。総額が同じくらいでも、内訳の切り方が違うだけで比較が成立しなくなります。見積書の項目名を並べて見るのがいちばん確実。
高所作業・特殊作業
電線が近い、屋根の真上に枝が張っている、ブロック塀のきわに生えている。こういう現場は、切る順番も落とす方向も一本ずつ設計しないといけません。時間がかかる分、加算されます。

第3層:同じ木なのに見積りが割れる理由
ここがいちばん、お客様に「なんで?」と思われる部分かもしれません。まったく同じ樹種・同じ高さの木でも、業者ごとに金額が違う。理由は作業条件の読み方が業者ごとに違うからです。
重機やクレーンを入れられるか
庭の前に車を止められて、機械が入れる。この条件が揃えば作業は一気に速く終わります。逆に、家の裏手で通路が幅70cmしかない、といった現場は全部が人力。ここで工数が数倍変わることも。
隣家との距離
川口市や戸田市のような住宅の密度が高いエリアで、これは避けて通れません。枝1本落とすのにも、隣家の屋根やカーポートに当てない配慮が要ります。安全マージンを厚く取る業者ほど見積りは高くなりますが、それは手抜きをしない分の金額でもある。
搬出動線の長さ
切った木を、どこまで運ぶか。玄関先にトラックを付けられるなら数分の話ですが、庭の奥から家の脇を通って20m運ぶとなると、それだけで往復何十回にもなります。意外と盲点。
先日、川口市内の現場で伺ったお宅では、庭に入る通路が塀と物置に挟まれていて幅60cmほどしかありませんでした。木そのものは4mの中木。ただ、この動線のせいで、丸一日かかる作業になりました。「高さ」の情報だけで電話見積りをすると、こういう条件が全部抜け落ちるわけです。
作業方法の違いを表で見る
| 作業方法 |
使える条件 |
人数の目安 |
費用に効くポイント |
| そのまま伐り倒す |
倒す先に十分な空地がある |
1〜2名 |
いちばん短時間。庭が広い戸建て向き |
| 吊り切り(上から分割) |
真下に倒せない・隣家が近い |
2〜3名 |
時間が数倍。住宅密集地はほぼこれ |
| 重機を使う |
敷地前に駐車でき通路幅がある |
2名+機械 |
作業は速いが機械の手配が要る |
| 完全人力(狭小地) |
通路が狭く機械が入らない |
2名以上 |
搬出の往復回数がそのまま工数に |
どの方法になるかは、現地を見ないと決まりません。だから私たちは見積りを無料でお受けしています。実際に庭を見て、動線を歩いて、はじめて金額が出せるものですから。
自分で切ろうとして失敗するケース
「ホームセンターでノコギリ買ってきたので自分でやります」——これ自体は悪くない選択です。2m程度の細い木なら、十分ご自身でできます。
ただ、自分でやって失敗するケースで多いのが、倒す方向を読み違えて隣家の塀やカーポートに当ててしまうパターン。木は重心が偏っているので、思った方向には倒れません。受け口・追い口という切り込みを入れて方向を制御するのですが、これを知らずに一方向から切り進めると、割れて跳ねます。想像より危険。
あとは切った後の処分。自治体のルールで太い幹は粗大ごみ扱いになったり、そもそも回収してもらえなかったりします。切るところまでできても、庭に丸太が残り続ける——というご相談、川口市でも何件かいただいたことがあります。
私たちは剪定なら1本3,000円〜でお受けしていますが、伐採は樹高と現場条件で変わるため一律ではありません。まずは高さと周りの状況だけでも把握しておくと、どこに頼むにしても話が早くなると思います。

よくあるご質問
Q. 電話だけで正確な金額はわかりますか?
おおよその幅はお伝えできますが、確定額は難しいです。樹高・搬出動線・隣家との距離という3つが揃ってはじめて作業方法が決まるためです。お写真を数枚いただけると精度は上がりますので、庭全体と木の根元、通路の幅がわかる写真があると助かります。
Q. 切った木や枝は持って帰ってもらえますか?
回収してお持ち帰りします。ただし量が多い場合は、運搬・処分料(3,000円〜/量に応じて)を別途申し受けます。事前に量の目安をお伝えしますので、当日に金額が変わって驚く、ということはありません。
Q. 抜根まで頼むと、どのくらい変わりますか?
根の張り具合次第で幅があります。地表近くに横に広がる浅根性の木と、まっすぐ下に伸びる直根性の木とでは掘る量が全然違うので。跡地に何も作らないご予定なら、抜根せず切り株のままにして様子を見る、という選択もあります。
Q. 伐採に向いている時期はありますか?
落葉樹は葉が落ちた11月〜2月がいちばん作業しやすいです。枝の構造がよく見えて、廃材の量も減りますから。ただ倒木の危険がある木や、台風前に処理したい木は、時期を待たずに切ったほうがいいと思います。「この木は切りどきですね」とお伝えするのは、たいてい傷みが進んでいる木です。
Q. 相見積りを取っても大丈夫ですか?
もちろんです。むしろ2〜3社見ていただくのがいいと思います。その際は総額だけでなく、処分費が込みか別か、抜根が含まれているか、この2点を各社に確認してみてください。ここが揃っていないと、同じ土俵での比較になりませんから。
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