川口市のお庭で増えている「チクチクになったカイヅカイブキ」
川口市内でお庭のお手入れに伺うと、かなりの確率で出会う木があります。カイヅカイブキ。生垣にも単木にも使われていて、昭和から平成にかけて建てられたお宅の境界沿いには、ほぼ必ずと言っていいほど植わっています。丈夫で、目隠しになって、成長も早い。良い木なんです。
ただ、ご相談内容はだいたい共通しています。「去年思い切って切ったら、葉が針みたいになってチクチクするようになった」。
これ、多いんです。カイヅカイブキという木の性質を知らずに切ってしまうと、ほぼ確実に起きます。しかも一度起きると、放っておいて元に戻ることはありません。今回は、この現象がなぜ起きるのか、そして7月という時期にどこまで手を入れていいのかを、私たちが現場で判断している基準そのままにお伝えします。

強く切ると葉が針状に戻る「先祖返り(杉葉化)」の仕組み
本来の葉は、うろこ状で柔らかい
健康なカイヅカイブキの葉に触ってみてください。痛くないはずです。表面がうろこのように重なっていて、指で握ってもチクチクしない。これを鱗葉(りんよう)と呼びます。うろこ状の葉、という意味ですね。カイヅカイブキ特有のねじれるような枝ぶりも、この鱗葉があってこそ出るものです。
ところが、この木にはもうひとつの顔があります。針のようにとがった葉。杉葉(すぎば)とか針葉(しんよう)と呼ばれるもので、握ると普通に痛いです。作業用の手袋越しでも刺さる感覚があるくらい。
なぜ強剪定で針葉に戻るのか
カイヅカイブキは、もともとイブキ(ビャクシン)という木から選抜されて生まれた園芸品種です。人が「この枝ぶりが美しい」と選んで増やしてきた、いわば改良版。
この木を深く切り込む、つまり葉のついていない古い枝の部分まで切り戻すと、木は緊急事態と判断します。そこから吹き直してくる新芽は、改良される前の姿——原種のイブキが持っていた針状の葉になって出てくるんです。これが先祖返り、あるいは杉葉化と呼ばれる現象です。
ポイントは、これが病気でも老化でもないこと。木のストレス反応なので、肥料をあげても薬をまいても戻りません。
一度出た針葉は、切り取るしかない
お客様から必ず聞かれるのが「放っておけばそのうち元に戻りますか」というご質問です。残念ながら、戻らないと思っていただいたほうがいいです。
対処法はひとつ。針葉になった枝を根元から切り取って、鱗葉のまま残っている枝を伸ばし、そちらで樹形を作り直していく。これを何年かかけて少しずつやります。木の半分以上が針葉化してしまっている場合は、正直、作り直しに3〜5年はかかります。だからこそ「そもそも先祖返りさせない切り方」が何より大事なんです。
7月のカイヅカイブキ剪定は「表面をなでる程度」が正解
この時期にやっていい作業、避けたい作業
7月の川口市はもう本格的な暑さに入っています。地面からの照り返しもきつい。木にとっても、水を吸い上げる量と葉から蒸散する量のバランスが崩れやすい季節です。
この時期にやっていいのは、春から伸びた新芽の先端を、葉のある範囲内で整えること。専門的には「刈り込み」と言いますが、要するに表面をなでるようにハサミを入れる作業です。伸びた分だけ、飛び出した分だけを落とす。
逆に7月に避けたいのは、こんな作業です。
- 樹高を1m以上詰めるような切り戻し
- 枝の内側、葉が一枚もついていない部分での切断
- 混み合った枝を根元から一気に何本も抜く作業
- 幹に日光が直接当たるほど葉を透かしてしまう剪定
特に4つ目。カイヅカイブキは幹に直射日光が当たると幹焼けを起こすことがあります。葉を減らしすぎるのは、この時期はリスクが高い。
本格的に形を整える、大きさを一段階落とすといった作業は、暑さが落ち着く9月下旬から11月、あるいは翌年の3〜5月に回すのが安全です。私たちも川口市内でこの時期にご依頼をいただいた場合は、「今日は軽く整えるところまでにして、寸法を詰めるのは秋にしませんか」とご提案することがよくあります。

自分で切って失敗するケースで多いのが「電動バリカンの入れすぎ」
ホームセンターで手に入る電動ヘッジトリマー。便利な道具です。ただ、カイヅカイブキとの相性という点では注意が必要でして。
刃が速いぶん、気持ちよく進んでしまうんですね。気づくと予定より深く入っている。葉の層は意外と薄くて、表面から10〜15cmも入れば、もう葉のない枝の領域に到達します。そこを切れば、翌年その面はチクチクになって出てきます。
もうひとつ多いのが、生垣の上面だけをきれいに揃えて、側面を放置するパターン。上だけ伸びて下がスカスカになり、数年後には下枝が枯れ上がって元に戻せなくなります。カイヅカイブキは古い枝から芽を吹く力が弱い木なので、一度スカスカになった下部は埋まりません。
意外と盲点。
川口市でカイヅカイブキの剪定を業者に依頼した場合の費用相場
ご相談の中で一番多いのが、やはり費用のご質問です。カイヅカイブキは単木として植わっているか、生垣として連なっているかで料金の考え方が変わります。目安をまとめました。
| 形態・サイズ |
費用相場(1回) |
作業時間の目安 |
推奨頻度 |
| 単木・高さ2m未満 |
3,000〜5,000円 |
30分〜1時間 |
年1〜2回 |
| 単木・高さ2〜3m |
5,000〜8,000円 |
1〜1.5時間 |
年2回 |
| 単木・高さ3〜5m |
8,000〜15,000円 |
2〜3時間 |
年2回 |
| 生垣(高さ2m未満) |
1mあたり600〜1,200円 |
10mで2〜3時間 |
年2回 |
| 生垣(高さ2m以上) |
1mあたり1,000〜2,000円 |
10mで3〜4時間 |
年2回 |
私たちの場合、庭木の剪定は1本3,000円からでお受けしています。お見積りは無料です。
この金額とは別に、切った枝葉の処分費が加算されるのが一般的です。カイヅカイブキは葉が細かくて量が出るので、生垣10mを刈り込むと軽トラックの荷台が埋まることも珍しくありません。ここを含んでいるか含んでいないかで総額がけっこう変わりますので、見積書を見るときは必ず確認してください。
見積りのときに聞いておくといい3つのこと
- 処分費が込みか別か——1回あたり数千円の差になります
- 今回どこまで切るのか——「軽く整える」なのか「寸法を詰める」なのかを言葉で確認
- 先祖返りのリスクをどう説明するか——ここを説明せずに「バッサリいきましょう」と言う業者さんには、一度立ち止まったほうがいいかもしれません
年2回の剪定を続けた場合、高さ3m程度の単木なら年間で1万〜2万円前後。生垣10mなら年間2万〜4万円前後というのが、川口市周辺での大まかな水準だと思います。放置して大きくなってから慌てて強剪定すると、その1回で同等以上の費用がかかったうえ、先祖返りのリスクまで背負うことになります。こまめに軽く、が結局いちばん安いんです。

よくあるご質問
Q. すでに全体がチクチクになっています。もう手遅れですか?
手遅れではありません。ただ、時間はかかります。針葉になった枝を段階的に抜きながら、残っている鱗葉の枝で骨格を作り直していく流れになります。木全体の状態を見て、何年計画で戻すかをご提案する形です。どうしても難しい場合や、そもそも大きくなりすぎて管理が負担という場合は、伐採して別の樹種に植え替えるという選択肢もあります。
Q. 7月に切ると木が弱ると聞きました。本当ですか?
切り方によります。表面を軽く整えるだけなら、7月でも問題ありません。むしろ梅雨で徒長した(ひょろひょろ間延びした)新芽を整えておくと、風通しが良くなって病害虫が出にくくなります。弱るのは、この時期に葉を大量に落とすような深い剪定をした場合です。
Q. カイヅカイブキは切ると独特のにおいがしますが、大丈夫でしょうか?
ヒノキ科特有の精油の香りで、木としては正常です。ただ、体質によっては樹液や葉でかぶれる方がいらっしゃいます。ご自身で作業される場合は、長袖・手袋・保護メガネを着けてください。針葉化した枝は本当に刺さりますので、薄手の軍手だと防ぎきれないことがあります。
Q. 隣家に枝が越境しています。勝手に切ってもいいですか?
ご自身の敷地から越境している側については、こちらで切る責任があります。逆にお隣から越境してきている枝は、原則としてまず所有者の方に切ってもらうよう伝えるのが筋です。川口市のように住宅が密集しているエリアでは、境界沿いのカイヅカイブキがトラブルの種になりやすいので、越境する前の段階で年2回のペースを守っておくのが結局いちばん平和だと思います。
Q. カイヅカイブキは植えてはいけない木だと聞いたことがあります
赤星病(あかほしびょう)という病気のことですね。この病気の菌は、ビャクシン類とナシ・リンゴなどのバラ科の木を行き来して増える性質があります。そのため、梨の産地の近くでは自治体が植栽を制限している地域があります。住宅地の生垣として問題になることは多くありませんが、気になる場合はお住まいの自治体のルールを一度確認されると安心です。
カイヅカイブキは、正しく付き合えば何十年ももつ丈夫な木です。切り方ひとつで表情が変わってしまう、少し気難しいところがあるだけ。7月の今は深追いせず、表面を整えて秋を待つ。それが結果的に、いちばんきれいな樹形を長く保つ道だと私たちは考えています。
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