川口市でオリーブが倒れるのは、枝ぶりのせいではありません
8月に入ると、私たちのところへ「オリーブが傾いてきた」というご相談が増えます。台風が近づく前後に、決まって同じ内容のお問い合わせが集中する。川口市内でも、この数年でオリーブを植えたお宅はかなり増えました。シンボルツリーとして人気ですし、常緑で冬も葉が残るので、目隠しにもちょうどいい。
ただ、この木にはひとつだけ、はっきりした弱点があります。
根が浅い。
オリーブは地中深くに太い根を下ろすタイプではなく、地表近くを横に広げる性質を持っています。地中海の乾いた岩地で育ってきた木なので、限られた雨をすばやく吸うためにそういう根の張り方をしているんですね。ところが日本の、しかも台風が通る土地では、この浅い根が不利に働きます。
そのうえオリーブは常緑樹。落葉樹と違って、真夏でも真冬でも葉が茂ったままです。つまり台風のときに、葉が丸ごと帆になる。地上部は風を受ける面積が大きいのに、それを支える根は浅い。この組み合わせが、倒伏の直接の原因です。
先日も川口市内のお宅で、植えて4年ほどの3m弱のオリーブを見せていただきました。幹は健康、葉色も良い。でも根元をよく見ると、地面が少し盛り上がって割れている。強風で根が動いた跡です。倒れる前の、いちばん分かりやすいサインでした。

8月にやるべきなのは「透かす」だけ。切りすぎると翌年の実が減ります
では風対策として枝を落とせばいいのかというと、ここが難しいところなんです。
確かに枝葉を減らせば風は抜けます。倒伏リスクは下がる。けれど、夏にがっつり切ってしまうと、翌年の春に花が咲かず、実がほとんど付かなくなります。これ、本当に多いんです。
オリーブの花芽は「去年伸びた枝」につく
オリーブの花芽は、その年に伸びた新しい枝(新梢)の葉のつけ根に作られます。そして冬の寒さに一定期間あたることで、翌春それが花芽として動き出す。5月下旬から6月に白い小花が咲き、秋に実が色づく——という流れです。
ということは。今年の夏に伸びた元気な枝こそが、来年の実をつける枝ということになります。台風対策のつもりでそこを短く詰めてしまうと、来年の花の在庫を自分で捨てているようなもの。
お客様からよく聞かれるのが「去年しっかり切ったのに今年実がならない」というお悩みなんですが、原因の多くはこれです。切った時期と場所が、たまたま花芽の枝だったというだけ。木が弱ったわけでも、肥料が足りないわけでもないケースが本当に多い。
夏に切っていい枝、残すべき枝
8月に手を入れるなら、「量を減らす」のではなく「風の通り道を作る」と考えてください。落とす対象は限定的です。
- 幹から真上にまっすぐ伸びた勢いの強い枝(徒長枝)
- 樹の内側に向かって伸びている枝
- 枝同士が交差して擦れている枝
- 根元から出てきたひこばえ
- 枯れ枝、明らかに弱っている細枝
この5種類を抜くだけで、樹冠の中を風がすっと抜けるようになります。外周の枝先はできるだけ触らない。全体のボリュームの2割程度が上限、というのが私たちの目安です。
もうひとつ、夏の切りすぎには別のリスクもあります。葉を減らしすぎると幹に直射日光が当たり、樹皮が日焼けを起こす。人間の日焼けと同じで、ひどいと表皮が傷んでそこから傷みが入ります。オリーブは特にこれを起こしやすい木なんですよ。葉には日陰を作る役目もある、と覚えておいてください。

本格的な樹形づくりは2〜3月に回す。この二段構えが正解です
「じゃあ形が乱れたのはいつ直すの」という話になりますよね。答えは冬の終わり、2月から3月です。
寒さが緩んで新芽が動き出す直前。このタイミングなら、樹の骨格から作り直すような剪定をしても、その年の新梢がしっかり伸びて回復します。切り口も乾きやすく、傷みにくい。関東ですと3月に入ってからのほうが安全だと思います。
つまり一年をこう分けます。8月は倒伏を防ぐための応急的な間引き。2〜3月は樹形と実付きを整える本番の剪定。夏に無理をせず、冬に本気を出す。この二段構えなら、台風にも耐えて、実も付きます。
| 時期 |
目的 |
切る量の目安 |
作業時間(3m前後) |
費用の目安 |
8〜9月 (夏の透かし) |
台風・倒伏対策 風通しの確保 |
全体の1〜2割 内側の枝のみ |
約30分〜1時間 |
3,000円〜 |
2〜3月 (本剪定) |
樹形の再構築 実付きの調整 |
全体の2〜3割 骨格から整える |
約1〜2時間 |
3,000円〜 (高さ・本数で変動) |
5〜6月 (開花期) |
原則さわらない |
枯れ枝のみ |
— |
— |
10〜11月 (収穫期) |
収穫優先 剪定は避ける |
— |
— |
— |
費用については、庭木の剪定は基本的に「高さ」で決まると考えてください。一般的な相場でいうと3m未満で3,000〜5,000円前後、3〜5mになると6,000〜10,000円前後というのがひとつの目安です。これに刈り取った枝葉の処分費と、場合によっては出張費が加わります。当社は剪定1本3,000円〜、お見積りは無料でお受けしています。
年2回の二段構えで頼んだ場合、3m級のオリーブ1本なら年間で1万円前後に収まることが多い。倒れてから撤去・植え直しになると、その何倍もかかります。予防のほうが安い、というのは庭木でも同じなんですね。
自分でやるなら、ここだけは気をつけてください
オリーブは剪定の失敗に比較的強い木です。多少切りすぎても枯れることは少ない。だからご自身でやってみたい、という方には私たちも止めません。ただ、失敗するケースには決まったパターンがあります。
いちばん多いのが、脚立の上から片手でノコギリを使ってしまう作業。オリーブは幹が滑らかで足がかりがなく、しかも枝が柔らかいので体重を預けられません。3mを超えたら脚立作業はやめたほうがいい。これは費用の話ではなく、単純に危ないんです。
それから、切り戻す位置。枝の途中でぶつっと切ると、そこから何本も細い枝が噴き出して、翌年もっと風を受ける形になります。切るなら分岐点の際から。中途半端に残さない。
あと意外と盲点なのが、根元の環境です。オリーブの根は浅いので、根元に厚く土を盛ったり、逆に踏み固めたりすると弱ります。川口市のような住宅密集地では駐車スペースの脇に植えられていることも多く、車の乗り入れで根の周りが締まっているお宅をよく見かけます。枝ばかり見ていて足元を見落とす、というのはプロでもやりがちな話です。

よくあるご質問
Q. 台風が来る前日でも剪定は間に合いますか?
間引き程度であれば当日でも効果はあります。ただ、切り口が新しいと雨で傷みやすいので、できれば1週間前までに済ませたいところです。それより急ぐなら、支柱を打って幹を固定するほうが確実だと思います。倒れかけている木は、切るより支えるのが先です。
Q. 剪定していないのに実が付かない年があります。病気でしょうか?
オリーブには実が多い年と少ない年が交互に来る性質があります。たくさん実った翌年は樹が疲れて花数が減る、というリズムですね。もうひとつ、オリーブは1品種だけだと実が付きにくい木でもあります。近くに別の品種があると受粉しやすくなるので、実を楽しみたい方は2品種植えるのがおすすめです。
Q. 鉢植えのオリーブも8月に切ったほうがいいですか?
鉢植えは倒伏というより、鉢ごと転がるリスクのほうが大きいです。剪定より先に、台風前は風の当たらない壁際に移動させてください。鉢は地植えより根の量が少ないぶん、夏の強剪定のダメージも大きく出ます。透かすなら本当に軽く、が原則です。
Q. 川口市内なら、庭木1本だけでも来てもらえますか?
1本からお受けしています。川口市を中心に、戸田市・さいたま市南区・緑区、北区・板橋区・足立区まで伺っています。オリーブだけ、というご依頼も夏場は多いですよ。他の木も気になるようでしたら、お見積りのついでに一緒に見させていただきます。
Q. 切った枝はどうすればいいですか?
自治体のルールに沿えばご自身で処分することもできますが、太い枝は指定の長さに切り揃える手間がかかります。オリーブは枝が硬めなので、意外と重労働。ご希望があれば当社で引き取っていますので、お見積りの際にお申しつけください。
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