電線に枝が当たっている——8月の川口市で増えるご相談
毎年8月になると、川口市のお客様から同じご相談が続きます。「台風が来る前に切っておきたいんだけど、枝が電線に当たっていて……」というもの。これ、本当に多いんです。
先に結論をお伝えします。電線にかかった枝は、ご自身で切らないでください。感電の危険はもちろんですが、それ以上に厄介なのが、ご近所一帯を停電させてしまう可能性があること。ご自宅だけの問題では済まなくなります。
電線は「触れていなくても」危ない
意外と知られていないのが、これ。東京電力パワーグリッドは、電線から離しておくべき安全な距離を電圧ごとに公表しています。
- 配電線(100V・200V)……2m
- 配電線(6,600V)……2m
- 送電線(22,000V)……3m
- 送電線(66,000V)……4m
ご自宅の前を通っている電線の多くは、このうちの配電線にあたります。注目していただきたいのは、家庭のコンセントと同じ100Vでも2m離すよう求められている点。「触らなければ平気」ではなく、「2m以内に入るな」が公式の基準なんです。同社は「電線に接触しなくても感電することがあります」ともはっきり書いています。
そして、よくある誤解がもうひとつ。「電線には黒い被覆が巻いてあるから、触れても大丈夫でしょう」というもの。あの皮は年数が経てば硬くなり、ひび割れます。枝が何年もこすれていれば、なおさら。私たちは被覆を安全の根拠には数えません。

誰が切るのか——所有者責任と電力会社の境界線
ここが一番わかりにくいところだと思います。整理しますね。
木そのものは、土地の所有者の責任
お庭の木は、原則として土地の所有者が管理する義務を負います。民法では、竹木の栽植や支持に不備があって他人に損害を与えた場合、その占有者や所有者が責任を負うと定められています。枝が伸びて電線に絡み、停電や事故につながったとき、「勝手に伸びたので」では通らない、ということ。
電線に触れる作業は、電力会社の領分
一方で、電線そのものに手を出せるのは電力会社と、委託を受けた有資格者だけです。東京電力パワーグリッドも、立木の枝を切るときは電線に触れないよう注意を促したうえで、電線の近くに足場を組むような場合は絶縁用の防護具を取り付ける必要があるため事前に連絡してほしい、と案内しています。
つまり境界線はこうです。木を切る責任は所有者、電線に触れる作業は電力会社。この2つが同じ現場で重なるから、話がややこしくなるんですね。
まずやるべきは、電話1本
枝が電線に当たっている、あるいは触れそうだと気づいたら、剪定業者を探すより先に電力会社へ連絡してください。停電・電柱・電線など設備に関する問い合わせ窓口は、2026年8月時点で0120-995-007(フリーダイヤルが使えない場合は03-6375-9803/有料)。停電などの緊急のご用件は24時間受け付けています。
状況によっては、電気を安全に送るための措置として、支障している部分を処理してもらえることもあります。ただしそれは設備の保安が目的。木の樹形や健康状態まで考えて整えてくれるわけではありません。ここは期待しすぎないほうがいいかもしれません。
もうひとつ、正直にお伝えしておきたいことがあります。「連絡すれば防護管を無料でつけてくれる」という情報をときどき見かけますが、建設工事などに伴う防護カバー類の設置については費用をご負担いただく扱いになっており、2025年10月からは取付・取外サービスの約款も定められました。無料か有料かは現場の状況次第、というのが実際のところです。
3つの選択肢と、費用の目安
| 方法 |
費用の目安 |
できること |
注意点 |
| 自分で切る |
0円〜(道具代のみ) |
電線から2m以上離れた枝だけ |
感電・停電・転落。2m以内は論外 |
| 電力会社に連絡 |
状況により無償/有償 |
電線の保安に支障する部分の処置 |
樹形は考慮されない。切り口が残る |
| 剪定業者に依頼 |
1本3,000円〜(電線が近ければ加算) |
木全体を整える。再発しにくい枝の抜き方 |
電線が絡む現場は事前連絡と日程調整が必要 |
費用が上がる条件
- 高さ……3mを超えると脚立では届きません。3mほどの松なら通常2時間ほどの作業ですが、電線が絡むと倍近くかかることもあります
- 人数……電線際は、切る人と落ちる枝を受け止める人の2人体制が基本。落とした枝が電線に触れたら本末転倒ですから
- 電力会社との調整……防護措置や立ち会いが必要になれば、その日程に合わせて作業日が決まります
- 搬出量……太い枝を落とせば、その分の処分費がかかります
私たちは剪定1本3,000円〜でお受けしていますが、電線が近い現場は現物を見てから正直にお伝えするようにしています。写真だけで即座に金額を言い切る業者さんがいたら、少し慎重になったほうがいいと思います。見積りは無料です。

台風が来る前に、できること
自分でやって失敗する、いちばん多いパターン
脚立の最上段に立って、体を伸ばして枝を掴みにいく。これです。バランスを崩した瞬間、人はとっさに近くのものを掴みます。それが電線だったら、と考えると背筋が寒くなります。剪定バサミも高枝切りバサミも、刃は金属。柄が樹脂でも、雨上がりで濡れていれば話は変わります。
もうひとつ多いのが、切った枝の落下先を考えていないケース。落とした枝が電線に引っかかる、道路に落ちて通行人に当たる。川口市は住宅と道路が近い区画が多いので、ここは本当に気をつけていただきたいところ。
8月のうちに見ておきたい3点
- 電柱からご自宅へ引き込まれている細い線(引込線)に、葉先が触れていないか
- 風でしなったとき、枝が電線に届く距離まで伸びていないか。無風の日に余裕があるように見えても、しなれば届きます
- 枯れ枝や、キノコの生えた幹はないか。折れて飛ぶのは、たいてい弱った枝です
台風の接近が増えるのは8月から9月にかけて。剪定のご依頼もこの時期に集中しますし、電力会社との調整が要る現場ほど日程が読みにくくなります。この木は切りどきですね、とお伝えするのは、たいてい8月に入る前後です。
ちなみに「もう根元から処分したい」というご相談も川口市ではよくいただきます。ただ、切り株を残すと多くの樹種はひこばえ(切り株や根元から出てくる若い芽)を伸ばし、数年でまた同じ状況に戻ります。根っこごと抜かないとまた生えてきますよ、とお伝えするのはそのためなんです。

よくあるご質問
Q. 電線にかかった枝は、電力会社が無料で切ってくれますか?
A. 「必ず無料」とは言えません。電気を安全に送るうえで支障がある部分については対応が行われることがありますが、木そのものの管理は所有者の責任という原則があります。まずは連絡して、どこまで対応してもらえるかを確認するのが確実です。
Q. 電線から少し離れている枝なら、自分で切ってもいいですか?
A. 目安は2mです。ただ、脚立の上から目測で2mを測るのは、思っているより難しいものです。枝は切った瞬間に跳ねますし、風でも動きます。迷う距離なら、触らないほうが安全だと思います。
Q. お隣の木が電線に当たっています。勝手に切っていいですか?
A. 越境してきた枝については、2023年の民法改正で、所有者に切除を求めても応じてもらえない場合など一定の条件下で自ら切ることが認められるようになりました。ただし電線が絡む枝は別問題です。ご自分で手を出さず、電力会社への連絡と、所有者の方への相談を先にお願いします。
Q. 台風で枝が電線に引っかかりました。すぐ取っていいですか?
A. 絶対に触らないでください。電線が切れて垂れ下がっている場合も同様です。電力会社は緊急のご用件を24時間受け付けていますので、その場を離れて連絡してください。引っかかっている物を取ろうとしての事故は、実際に起きています。
Q. 剪定を頼んだら、電力会社への連絡も業者がやってくれますか?
A. 現場の状況によりますが、私たちは電線が絡む案件では、必要な連絡や調整を含めて進め方をご説明したうえで作業日を決めています。お客様に段取りを丸投げすることはありませんので、まずは現場を見せていただければと思います。
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