「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」。庭木の話をしていると、必ずと言っていいほど出てくる言葉です。川口市内のお宅でも、「桜って切っちゃダメなんですよね?」と聞かれることが本当に多い。
結論から言うと、切ってはいけないわけではありません。ただし「切る太さ」と「切る時期」を間違えると、その一本が数年かけて枯れていく——それがこのことわざの中身です。特に今の時期、8月に太い枝を落とすのは、私たちが現場で一番止めたい作業。
この記事では、桜が切り口を苦手とする仕組みと、8月にやっていい範囲、そして落葉後11〜2月の適期に何をするかを、庭師の目線で共有します。

「桜切る馬鹿」の正体は、腐朽菌と癒合スピードの差
木は、枝を切られると切り口の周りから「カルス」と呼ばれる組織を盛り上げて、傷を内側に巻き込んでいきます。ドーナツ状に少しずつ肉が寄ってきて、最後に塞がる。人間のかさぶたに近いイメージですね。
問題は、そのスピードです。梅は切り口を巻き込むのが早い。だから毎年ばっさり切っても平気で、むしろ切らないと枝が混んで花が減る。だから「梅切らぬ馬鹿」。
一方の桜、特に日本の庭で一番多いソメイヨシノは、この巻き込みが遅いんです。傷が開いたまま何年も残る。そこへ入り込むのが木材腐朽菌——木の内部を分解して食べてしまうキノコの仲間です。ベッコウタケやコフキサルノコシカケといった名前を聞いたことがあるかもしれません。
腐朽菌は、幹の中を上下に広がっていきます。外側の樹皮は生きているので、見た目は普通の桜。ところが数年後、風の強い日にぽきりといく。中が空洞になっているんです。これ、けっこうあります。
つまり「桜を切ると枯れる」のではなく、「桜の太い切り口は塞がる前に菌に入られる」が正確な言い方。切ること自体ではなく、塞がらない大きさの傷を作ることが問題なんですね。
8月に太枝を切ってはいけない3つの理由
その上で、なぜ夏がまずいのか。理由は重なっています。
1. 腐朽菌が一年で一番元気な季節
キノコの仲間は高温多湿を好みます。梅雨から夏にかけて、菌にとっては絶好の繁殖期。切り口が乾いて固まる前に、胞子が着地して定着してしまう可能性が高い時期なんです。
2. 切り口が乾かない
夏の桜は根から水を盛大に吸い上げています。切ったそばから断面が湿る。乾いてかさぶたになるはずの面が、いつまでもじっとり湿っている状態が続きます。
3. 葉を減らすと、木が弱る
8月の葉は、来春の花芽を作るための養分工場です。ここで枝葉を大量に落とすと、その分だけ木の体力が落ちる。弱った木は傷を塞ぐ力も落ちるので、悪循環になります。
自分でやって失敗するケースで多いのが、「夏に日陰になるから」と主幹に近い太枝を一本落としてしまうパターン。翌年その周辺だけ葉が薄くなり、3〜4年してから枝先が枯れ下がってくる。原因と結果が離れているので、あのときの剪定が効いていると気づきにくいのが厄介なところです。

8月にやっていい剪定・待つべき剪定
とはいえ、夏の桜を完全に放置していいわけでもありません。切っていい範囲は、はっきり線が引けます。
| 作業内容 |
8月(今) |
落葉後11〜2月 |
| 枯れ枝・折れ枝の除去 |
やってよい(すでに枯れているので癒合の負担なし) |
やってよい |
| 徒長枝(幹から真上に伸びる若い枝) |
細いものは付け根から可 |
やってよい |
| ひこばえ(根元から出る細い枝) |
やってよい |
やってよい |
| てんぐ巣病の枝の切除 |
見つかれば可 |
枝ぶりが見えるので発見しやすい |
| 直径3cmを超える枝 |
原則やらない |
適期。癒合剤を併用 |
| 樹形を作り直す強剪定 |
やらない |
適期 |
基準はシンプルで、大人の親指くらい(直径3cm前後)までが夏に触っていい上限。それを超える枝は、落葉するまで待ちます。
あと、8月の桜で見落とされがちなのが毛虫です。モンクロシャチホコの幼虫は、この時期に集団で葉を食べ尽くします。黒い毛虫が枝一本にびっしり、というやつ。剪定より先に、まず葉の裏を見上げてみてください。触れるとかぶれる種類もいるので、薬剤散布を含めてご相談いただいたほうが安全かもしれません。
適期は落葉後の11〜2月。そして「太くなる前に切る」
桜の本番の剪定は、葉が落ちてから芽が動き出す前。川口市あたりの気候なら、11月中旬から2月いっぱいが目安です。
この時期がいい理由は、夏の裏返しです。腐朽菌の活動が鈍い。木が休んでいるので樹液が動かず、切り口が乾きやすい。葉がないので枝の重なりが全部見える。三拍子そろっています。
切り方にもコツがあります。枝の付け根には、少し膨らんだ襟のような部分があります。ここには傷を塞ぐ組織が集まっているので、この膨らみを残して、その外側で切る。幹にぴったり沿わせて平らに切ってしまうと、巻き込みの起点が失われて塞がらなくなります。よくある失敗です。
そして直径3cmを超える切り口には、癒合促進剤を塗ります。ホームセンターでもチューブ入りのものが手に入りますよ。
ただ、一番効くのは道具でも薬でもありません。太くなる前に落としておくことです。真上に勢いよく伸びる徒長枝を、指くらいの太さのうちに毎年整理しておけば、そもそも太枝を切る場面が来ない。数年に一度の大手術より、毎年の小さな手入れ。桜に関してはこれが唯一の正解だと思っています。
先日も川口市内で、10年ほど手を入れていなかったソメイヨシノを見せていただきました。腕くらいの太さの枝が屋根に覆いかぶさっていて、お客様は「一気に落としてほしい」と。ただ、その太さを夏に切るのは木にとって賭けになります。今回は枯れ枝と細い徒長枝だけ整理して、太いところは冬に2回に分けましょう、とご提案しました。急がば回れ、ですね。

川口市で桜の剪定を依頼するときの費用と確認ポイント
私たちの剪定は1本3,000円〜、見積りは無料です。桜のように高さがある木、屋根や電線が近い木は、脚立や高所作業の手間で金額が変わりますので、まず現地を見せていただいた上でお出しします。
切った枝葉は回収してお持ち帰りしますが、量が多い場合は運搬・処分料(3,000円〜/量に応じて)を別途申し受けます。桜は葉も枝も量が出るので、ここは事前にご説明します。
業者選びで見ていただきたいのは、金額そのものより次の点です。
- 処分費が見積りに含まれるか、別途かを最初に確認する(後から加算されるトラブルが一番多い)
- 桜と分かった上で「時期を待ちましょう」と言えるか。真夏に強剪定を提案してくる場合は、一度立ち止まったほうがいいかもしれません
- 切り口の処理(癒合促進剤)まで作業に入っているか
- 枝の付け根をどう切るかの説明ができるか
川口市・戸田市・さいたま市南区・緑区・北区、板橋区、足立区で伺っています。「これは今切っていい枝か」の判断だけでも構いませんので、気軽に声をかけてください。
よくあるご質問
Q. 桜は本当に一切切ってはいけないのですか?
いいえ。細い枝であれば切って構いませんし、枯れ枝や病気の枝はむしろ切るべきです。避けたいのは、塞がらないほど太い切り口を作ることと、腐朽菌が活発な夏にそれをやることです。
Q. すでに8月に太い枝を切ってしまいました。どうすればいいですか?
まず切り口に癒合促進剤を塗ってください。その後は、切り口の周りから樹皮が浮いていないか、キノコが出ていないかを年1〜2回見ておきます。数年で巻き込んでくれることもありますので、慌てて追加で切らないことが大切です。
Q. 幹にキノコが生えていました。もう手遅れでしょうか?
キノコが表に出ている時点で、内部の腐朽はある程度進んでいると考えます。ただし、すぐ倒れるかどうかは腐った範囲によります。人が通る場所や隣家に近い桜は、一度見せていただいたほうがいいと思います。
Q. 花を咲かせるために切る場所はありますか?
桜の花芽は、前年の夏に短い枝につきます。真上に勢いよく伸びる徒長枝には花がつきにくいので、そこを整理すると横に張った枝に養分が回ります。結果として花つきがよくなる、という考え方です。
Q. 隣家に越境した枝は、勝手に切っていいですか?
自分の敷地から出ている枝であれば、ご自身の判断で切れます。ただし桜の場合、越境するくらいの枝はたいてい太い。夏に落とすと木への負担が大きいので、応急的に先端だけ詰めて、付け根の処理は冬に回すのが現実的な進め方です。
お庭のこと、まずはお気軽にご相談ください
見積り無料・出張費無料・キャンセル料無料
メールでのお問い合わせはこちら →
受付時間: 8:00〜20:00(LINE・メール24時間対応)